BOSAI(防災)は日本の文化
防災への意識の高まりは日本だけではありません。
インドネシアのメラピ山の大噴火やタイの大洪水、フィリピン・レイテ島の
台風被害など、海外でも様々な災害を通じて防災意識は高まっています。
2005年からはじまったイザ!カエルキャラバン!の取り組みは、
地域の特性を理解し、その土地に合った防災を提案し、世界へと広がっています。
「BOSAI(防災)」という新しい日本の文化が、様々な国へと輸出されています。
大学やNGOと連携し、カエルキャラバン
の普及やローカライズ化担い手育成を支援
インドネシアでは、2006年に発生したジャワ中部地震の被災地であるジョグジャカルタに入り、現地のヒヤリング調査から支援をスタートしました。翌年には、現地のガジャマダ大学と連携し、「イザ!カエルキャラバン!」のデモンストレーションを海外では初めて実施しました。
2008年の2回目の開催からは、地元のNGO団体も加わって実施され、いくつかの防災体験プログラムがインドネシア版として再編集されました。
3年目となる2009年は、ガジャマダ大学の協力のもと、地元NGOと地域の小学校の先生たちが中心となり、小学校で「イザ!カエルキャラバン!」が開催されました。定期的にフォーラムが開かれ、地域独自の防災ワークショップの開発、指導者の養成など、地域主導の防災教育が広がりをみせはじめました。
2010年には、神戸市の自主防災組織「防災福祉コミュニティ」のシステムを参考にした、「BOKOMI」バッドランが結成されました。
現在では、ジョグジャカルタ中心に展開してきた防災教育・地域防災力向上に対する取り組みを、インドネシア全土に普及させるために、国や地方の行政の教育機関や防災関係者等を招き、国際シンポジウムを実施するなど、国レベルで大きく広がっています。
竹の棒とサルン(伝統的な巻き
スカート)の担架を用いたケガ人の
搬送訓練。シンボルキャラクターの
小鹿の人形を使用しています。
中華鍋とサッカーボールの的を用いた
消火器訓練。水消火器も正規の消火器を
改良して開発されました。
新聞紙ではなく、
身近にあったバナナの葉で食器を作りました。
火災爆発後の悪路を想定した
避難訓練です。
土砂災害の知識を学ぶプログラムが
開発されました
現地のボランティアの手で、デモンストレーションを実施。
インドネシアで開発されたプログラムなども実施された
2012年、タイ・クリエイティブデザインセンター(TCDC)において、プラス・アーツの防災普及活動全般を紹介する展覧会「ALWAYS PREPARE展」が開催され、タイ国内でプラス・アーツが行っている“楽しく学ぶ防災教育”の認知度を高めることとなりました。またプラス・アーツにとっても、タイの防災分野の担い手とのネットワークの基礎を築くきっかけとなりました。
2013年にデザインクリエイティブセンター神戸で開催した「EARTH MANUAL PROJECT展」が直接のきっかけとなり、タイのNPOデザインフォーディザスターズをカウンターパートに、国際交流基金バンコク日本文化センターと協働で、14年6月にバンコクで「レッドベアサバイバルキャンプin タイ」を初めて開催しました。このイベントには多くのタイの防災関係者が視察に訪れ、中でもタイ王室のシリントーン王女の社会事業財団(Sirindhorn Special Task Unit※以下SSTU)が大きな関心を持ち、同年5月に地震の被害があったタイ北部の街・チェンライで9月に、また10年前に津波の被害を受けたプーケットで12月に「レッドベアサバイバルキャンプ」をSSTUが主催し、プラス・アーツは国際交流基金とともにその開催支援を行いました。現在、タイでのレッドベアサバイバルキャンプの活動は、SSTUを中心に、運営面ではタイ最大のレスキュー財団(RUAMKATANYU FOUNDATION)が、オリジナル・プログラムの開発に関してはタイのゲームデザイナー・ラティゴーン氏が全面的に協力し、進められています。
Tシャツとペットボトルを用いた
簡易ライフジャケットづくりが
開発されました。
タイ版シャッフルゲーム
洪水及び津波バージョンです。
Disaster Life Cycleゲーム
洪水及び津波バージョン
洪水時の避難歩行訓練プログラムが
開発されました。
ゴミ袋とビニール紐を用いた足の
保護方法を学ぶプログラムが
開発されました。
マグニチュード8.8の地震と津波が襲った地域で開催。独自のプログラムも開発予定。
2010年にマグニチュード8.8の地震と津波が襲ったタルカワノ市で、2014年7月に「イザ!カエルキャラバン!in タルカワノ」が、同年12月に「レッドベアサバイバルキャンプ in タルカワノ」が実施されました。
きっかけは、2014年にJICA関西主催の防災研修のなかのプラス・アーツが担当した講義を聴講した同市の防災担当者ボリス氏が、講義で紹介されたそれまでチリの防災教育の発想になかった楽しく学ぶ防災教育の取り組みに強く感銘を受け、現地でぜひ「イザ!カエルキャラバン!」と「レッドベアサバイバルキャンプ」を実施してみたいと思ったことでした。
12月に行った「レッドベアサバイバルキャンプ」のプログラムの構成は、午前中はグループごとに用意したプログラムに順に参加してもらい、午後からは各プログラムの習得度のチェックを兼ね、グループ対抗のレースを実施するというもの。当日は、タルカワノ市周辺の17の自治体から集まった総勢240名の子どもたちが元気いっぱいにプログラムに参加しました。今後、チリでは独自の防災教育プログラムや教材開発に取り組む予定で、プラス・アーツも全面的に協力する予定です。
消火器訓練に用いるオリジナルの的が
開発されました。
人が重りとなった車のジャッキを用いた
救護訓練です。
心肺蘇生法の専門知識と技を学ぶ
プログラムもおこなわれています。
足や目の不自由な人など障害者の
避難誘導訓練が開発されました。
道具を使わず2人の体だけで運ぶ
ケガ人搬送訓練です。
オリジナルキャラクターによるオリジナルプログラムが登場!
2012年に横浜市に国際協力機構(JICA)主催の防災研修のために来日していたイロイロ市の職員及び地域住民の代表が、プラス・アーツの講義で紹介した「イザ!カエルキャラバン!」に関心を持ち、帰国後、開催を希望したため、翌年にJICA、横浜市、非営利の国際的組織「シティネット横浜」と協働で、フィリピン版「イザ!カエルキャラバン!」の開催を支援を行いました。初年度は日本のプログラムをほぼそのまま実施、2年目の14年には事前にワークショップを開催し、一部のプログラムを地域固有の災害種・水害に特化した内容にアレンジして開催しました。
また2013年に台風ヨランダで大きな被害を受けたミンダナオ島北部の街・カガヤン・デ・オロでは、地元キャピトル大学の協力を得て、国際交流基金マニラ日本文化センターと共に全く新しいフィリピン独自の防災教育プログラム「MOVE PHILIPPINES」を2014年11月に同大学内で実施しました。このプログラム開発には、タイのゲームデザイナー・ラティゴーン氏とプラス・アーツ監修の元、同大学の教員や学生たちが行い、またフィリピンに生息する世界最小の猿・ターシャをモチーフにした「MOVE PHILIPPINES」のシンボルキャラクター開発などブランディングに関しては、フィリピンのデザインスタジオ・PLUS63が協力しました。
フィリピン版防災ダンスです。
バニック(フィリピンの伝統的な敷物)を
用いたケガ人の搬送訓練です。
シンボルキャラクターの猿と
ターシャの人形を使用。
日用品で洪水時のトラブルを解決する
ノウハウを学ぶプログラムです。
洪水時の避難歩行訓練フィリピン
バージョンです。
専用のスコープを使います。
フィリピン版シャッフルゲーム
洪水バージョンです。
現地カウンタパートナーが精力的に講演会を実施。
国内のみならず隣国にも開催支援をおこなう
ボーイスカウト組織の学生を中心に、
地域ボランティアが担い手となり学校現場などで展開
研修を受けた高校生が担い手となり、
小中学生向けに防災ワークショップを展開
現地でボランティアを集め、
デモンストレーションを実施
日本でカエルキャラバンに参加した教員が、
帰国後「防災クマキャラバン」として展開
現地でレクチャーとワークショップを
おこなって、3年後に実現
日本で防災研修に参加した研修員が帰国後実施